多摩川川ごみ問題
問題の背景
東京都西多摩エリアを流れる多摩川上流部は、東京都とは思えないような多摩川の清流と、都心からのアクセスも良いことから、自然散策や、ピクニックの場所として古くから東京都民に愛されてきた場所です。中でも、青梅市にある「釜の淵公園」は、青梅駅からのアクセルの良さと、多摩川沿いに整備された広大な河川敷公園のため、多くのビジターでにぎわいます。一方で、特に夏場のBBQ利用者によるゴミの残置が大きな問題となり、現在では地元のボランティア団体や、多摩川を利用するリバーガイドのグループが、これらの清掃にあたっています。


LNTレベル1インストラクターコース
川ゴミ問題の解決に向け、地域のアウトドアガイド、観光事業者を対象とした、LNTレベル1インストラクターコースを2022年11月5日に開催しました。このコースにより、今後西多摩エリアでのLNTの普及に多大な貢献をする6名のLNTインストラクターが誕生しました。また、これに続く、川ゴミ問題の解決に向けたアクションプランの策定を行い、青梅市と民間アウトドア事業者との連携が開始されました。


青梅市自治体連携協定
スポットライトの取り組みや、地元アウトドア事業者の積極的な働きかけもあり、地方自治体とLNTJの包括的な連携プログラムである、自治体連携協定を、2023年 月 日に締結しました。青梅市はLNTJとの協働事業として、以下の事業を行います。
1)釜の淵公園へのLNT看板の設置
2)西多摩エリアにおけるLNT指導者の育成支援
3)市民に対するLNTの教育と普及


LNT看板設置
川ゴミ問題の解決に向けて、国内では初となる行政によるLNT看板が、釜の淵公園の2箇所に設置されました。看板の内容は、LNT7原則のうち、特にLNT3「ゴミの適切な処理」における、「持ち込んだものは持ち帰る」を強調しました。今後、これらの看板が、川ゴミ問題の解決にどのように効果があったのか、継続的にモニタリングすることとなりました。


市役所職員研修
青梅市では、LNTJとの自治体連携協定に伴い、市の職員に対してLNTワークショップ研修を実施しました。地域の自然フィールドを守るため、土地管理者である行政との連携を欠くことはできません。スポットライトをきっかけに、官民一体となった多摩川の保全が加速しました。


LNTが西多摩エリア全体の自治体に発展
青梅市の動向に呼応するかのように、多摩川上流部で同じ問題を抱える、あきる野市と奥多摩町は、あきる野は2024年 月 日に、奥多摩町は、2025年 月 日に、自治体連携協定を締結しました。また、西多摩エリア4自治体に在籍するLNTインストラクターは、青梅市11名、あきる野16名、奥多摩町5名、檜原村2名(2025年12月調べ)となり、国内屈指のLNTインストラクター数を誇るエリアとなりました。


LNTJカンファレンス西多摩大会を誘致
これらのスポットライトからの一連の活動が実り、2024年6月17日-19日に、LNTJの年次カンファレンスである、第12回ジャパンアウトドアリーダーシップカンファレンス西多摩大会を開催することとなりました。会場は、この地の自治体連携を象徴し、あきる野市あきる野ルピアと、青梅市S&Dたまぐーセンターの2会場で開催されました。最終日のメインシンポジウムとして、青梅市、あきる野市、奥多摩町、檜原村の4自治体の首長が一堂に会し、LNTを活用した地域のアウトドア観光の推進と環境保全について議論が交わされ、LNTメンバーやアウトドア事業者だけではなく、多くの市民にLNTの価値を届けることができました。

TOKYOサステナブルツーリズム
西多摩エリアとして、LNTを活用したアウトドア観光の推進が共通の指針となり、青梅市、あきる野市、奥多摩町は、東京都市長会の「多摩・島しょ広域連携活動助成金」を受け、2025年から5カ年をかけて「TOKYOサステナブルツーリズム事業」を実施することとなりました。今事業の骨子は以下の通りであり、国内初となる、LNTを活用した、行政による大型プロジェクトの推進は、今後国内地域のLNT導入のロールモデルとなるでしょう。
1)アウトドア事業者、観光事業に対するLNTの教育
2)地域の学校教育機関へのLNTの導入
3)LNTを活用した企業研修の誘致
4)ビジターに対するLNTコンテンツの整備



