Leave No Traceとは、環境に対するインパクトを最小限にして、アウトドアを楽しむための環境倫理プログラムです。すべてのテクニックが、7つの原則を基にしており、誰にでもわかりやすく、楽しく実践することができます。世界96カ国のアウトドアレクリエーションにおける行動基準となっています。

国内では、野外教育指導者の国際ネットワークである、Wilderness Education Association Japanが、2013年に国内最初となるマスターエデュケーターコース(現在のレベル2インストラクターコース)を開催し、国内での指導者養成を開始しました。2021年に、特定非営利活動法人リーブノートレイスジャパンが設立し、LNTの正式な国際ブランチとして、活動を引き継ぐこととなりました。

環境に対するインパクトを最小限にした責任あるアウトドアの楽しみ方の教育と普及を通じ、将来にわたり全ての人が楽しむことのできる健全な自然環境を維持します。

1)アウトドアを訪れる人がLNTを簡単に学ぶことができるようにします(教育)。
2)アウトドアで活動するときにLNTがすぐに目に付くようにします(環境)。
3)アウトドア活動を提供する指導者、施設がLNTを正しく伝えられるようにします(指導者)。
4)LNTのアクションに関連する団体と連携します(連携)。

1)LNTを全ての子供に
2)LNTを全ての公園に
3)LNTを全てのアウトドア指導者に
4)アウトドアを楽しむ全ての人がLNTを行動に

1960年代アウトドア レクリエーションによる深刻な自然破壊が起こり、連邦森林局でミニマムインパクトの概念が生まれました。
1970年代連邦国立公園局 、土地管理局、魚類野生動物局がミニマムインパクト運動に加わりました。
1980年代連邦森林局による”No Trace”運動が全米国立公園に普及しました。
1990年代連邦森林局と全米野外指導者学校(NOLS)が、LNTのトレーニングプログラムを開発しました。
1994年Leave No Traceが独立した組織として設立しました。
1999年LNT7原則が発表されました。
2003年Leave No Trace Center  for Outdoor Ethics(通称LNTセンター)に改名し、世界中の野外団体や自然公園がLNTを採用するようになりました。

リーブノートレイスの教育と普及のために、LNTの指導者を目指インストラクタートラックと、LNTの普及を目指すレクリエーショナルトラックの2つのパスを準備しています。

1.インストラクタートラック:リーブノートレイスの指導者養成のために、レベル1,2,3のインストラクターレベルを設定しいます。

1.1.レベル1インストラクター:一般市民向けのワークショップを開催するために技術です。10時間のフィールドワークを含む16時間の学習が必要です。LNT7原則の理解と指導法に焦点が当てられています。

1.2.レベル2インストラクター:レベル1インストラクターを開催するための技術です。2泊3日間の野外遠征を含む40時間のコースです。野外遠征におけるLNTの指導法とインストラクターの育成方法に焦点が当てられています。

1.3.レベル3インストラクー:レベル2インストラクターを開催するための技術です。LNT_USによって公認されて12名のインストラクターによって構成されています。

2.レクリエーショナルトラック:リーブノートレイスの普及のために、スキルコースとワークショップが設定されています。

2.1.スキルコース:リーブノートレイス7原則を包括的に学びたアウトドアの実践者向けの16時間のコースです。LNTの指導技法を学ぶことはできません。

2.2.ワークショップ:リーブノートレイス7原則の一部に触れる30分〜1日のワークショップです。様々なシチュエーションに柔軟に導入することができます。

原則1事前の計画と準備(Plan ahead and prepare)

・行き先のルールや注意することを知ろう
・悪天候や緊急時に備えよう
・ピークシーズンや混雑する時間帯を避けよう
・できるかぎり少人数のグループで活動しよう
・できる限りゴミが少なくなるようにパッキングしよう
・標識に頼らずに地図とコンパスを使おう

原則2影響の少ない場所での活動(Travel and camp on durable surfaces)

・指定地、岩、砂、雪、乾いた草など頑丈な土地の上で活動しよう
・キャンプサイトは水辺から60m以上離れたところに見つけよう
・よいキャンプサイトは作るのではなく見つけよう
よく使われている場所では
・指定のトレイルやテントサイトを利用しよう
・トレイルがドロドロでも真ん中を歩こう
・キャンプサイトは植生が少ない場所にできる限り小さく設営しよう
ほとんど使われていない場所では
・人が入っていないところではキャンプサイトや歩行を分散させよう
・インパクトが始まりかけた場所は避けよう

原則3ゴミの適切な処理(Dispose of waste properly)

・すべてのゴミや食べかすを持ち帰ろう
・キャンプサイトや休憩場所を離れる時にゴミを確認しよう
・トイレは水辺、テントサイト、トレイルから60m離れたところに見つけよう
・トイレは20cm程度穴を掘って行い、終わったらしっかり埋めよう
・トイレットペーパーは持ち帰ろう
・食器は水辺から60m離れたところで、必要最小限の天然洗剤で洗おう
・食べかすはこし網で取り除こう

原則4見たものはそのままに(Leave what you find)

・文化的、歴史的遺跡は触れずに見るだけにしよう
・石、植物等すべての自然物は置いて帰ろう
・外来生物を運んだり、持ち込んだりするのを避けよう
・木で何かを作ったり穴を掘ったりしないようにしよう
・キャンプサイトはもと通りにしてから出発しよう

原則5最小限のたき火の影響(Minimize campfire impacts)

・できる限りストーブを使うようにしよう
・たき火をするときは焚き火台やマウンドファイヤーを使おう
・たき火の大きさは必要最小限にしよう
・薪には手で折れる程度の落ちている枝だけを使おう
・すべての薪が灰になるまで燃やそう
・灰は完全に消火してからバラまこう

原則6野生動物の尊重(Respect wildlife)

・野生動物は遠くから観察しよう
・野生動物にエサをあげないようにしよう
・食べ物に野生動物が近づかないようにしよう
・ペットはいつもつないでおくか、家に置いてこよう
・子育てや巣作りなどをしている野生動物には近づかないようにしよう

原則7他のビジターへの配慮(Be considerate of other visitors)

・他のビジターの体験の質を保とう
・他のビジターとスペースを譲り合おう
・他のビジターとすれ違うときは登りの人を優先しよう
・キャンプや休憩はトレイルから離れて行おう
・自然を静かに楽しもう