アウトドアユーザーが残すゴミは、間違いなく他のビジター、水質、野生動物に影響を与えています。

屎尿(しにょう)

適切な屎尿の処理は、水質の汚染を回避し、他のビジターへの景観的なダメージを避け、野生動物に病気が広がることを防ぎます。また、分解の速度を最大化することで、それらのインパクトをさらに小さくできます。

ほとんどの場所で、人間の大便を土壌に正しく埋めることが、これらのダメージを最小限にする最善の方法です。土壌のない場所では、ときには大便を適切な方法で持ち帰る必要もあります。土地管理機関から、その地域の規則について情報を得ましょう。

ハイキングに適した、商業の携帯トイレを手に入れることができます。より多くのビジターが自然公園を訪れるようになり、大便の持ち帰りは、より一般的になる可能性があります。特に高山などの繊細な環境では、土地管理者が全ての大便の持ち帰りを義務付けることもあります。

キャットホール

キャットホールは、最も一般的な大便の処理の方法です。水源、トレイル、キャンプサイトから最低60m離れた場所を選びます。他のビジターが近寄る可能性の低い目立たない場所を選びましょう。移植ゴテで、20cmの穴を掘ります。大便をしたあとは、黒土をまぜ、分解の速度を早めます。キャットホールは土で覆い、棒を立てて、他のビジターへの目標にします。同じ場所で数日キャンプする場合や、大人数でキャンプする場合は、キャットホールの場所を分散します。

キャットホールの場所

・グループでキャンプをする場合や数日同じ場所でキャンプをする場合、キャットホールを広い範囲に分散させます。同じ場所に二度と行かないでください。
・黒土が覆い場所を選びます。黒土には便の分解を早める微生物が豊富です。
・可能であれば、日光ができるだけ当たる場所を選びます。太陽からの熱は便の分解を助けます。
・雨天時に水が流れない高台を選びます。

キャットホールの掘り方

・移植ゴテがキャットホールを掘るのに適した道具です。
・深さ20cm(移植ゴテのブレードの長さ)、直径15cm程度の穴を掘ります。
・黒土の層が少ない場合にも、20cm掘り、周囲の黒土で埋めます。
・黒土のない砂漠では10cm程度の浅い場所に埋めます。これにより太陽に熱により分解を早めます。
・終了したら、木の枝などで黒土と攪拌して、分解を早めます。
・攪拌した棒をそのまま立て、掘った土を元に戻し、穴を埋めます。

波打ち際など、明らかに水が流れる場所を、たとえ乾いていても避けましょう。できるかぎり日当たりがよい場所を選びます。太陽の熱は砂漠の砂の数センチ中まで届くため、便の病原体を殺すことができます。南向きの斜面や、尾根の上は、より太陽と熱に晒されます。

集団トイレ

ほとんどの場合、キャットホールが推奨されますが、小さな子どもと一緒にキャンプする場合、一つのキャンプサイトに大人数で数日滞在する場合など、トイレを集中した方が適した場合があります。集団トイレの場所は、キャットホールと同じ基準を用います。この方法は、インパクトが大きく、分解にも時間がかかるため、慎重に場所を選択してください。分解を早め、匂いを減らすために、使用するたびに黒土をかけるといいでしょう。

トイレットペーパー

トイレットペーパーは、分解に時間がかります。ビニールに入れて持ち帰るか、必要最小限の使用に止め、キャットホールに埋めます。石、葉、雪などをトイレットペーパーの代わりにすることで、トイレットペーパーの使用を最小限に止めることができます。トイレットペーパーを燃やして処理することは、山火事の危険があるために推奨しません。

生理用品

生理用品は、分解が容易ではなく、動物がそられを掘り返す可能性が高いため、必ずビニールに入れて持ち帰ります。これらを燃やすにも非常に強い火力が必要です。

尿

尿は、植生や土壌に直接影響を与えることはほとんどありません。一方、尿に含まれる塩分が野生動物を引きつけことがあります。野生動物は、木の皮をむいたいり、土を掘り返すことができます。岩、砂利、松葉などにおしっこをした方が、動物を引き寄せにくくなります。おしっこの後を水筒の水で洗い流すとさらにインパクトを希釈することができます。

それ以外のゴミ

「持ち込んだら、持ち帰る」はアウトドアユーザーには当たり前の合言葉です。アウトドの使用者はその場を離れる前に元通りにする責任があります。キャンプサイトや休憩をした場所に、食べかすやゴミはないか、確認しましょう。

食べかすは、野生動物を引きつけ、彼らにとって有害なものもあります。食べかすを持ち帰ることは野生動物の保護にもつながります。食べかすを火で燃やすことを考えないでください。完全に燃え尽きない食べかすは野生動物を引きつけ、後からきたビジターにも不快感を与えます。

適切に処理されなかったゴミは、汚らしいだけでなく、環境にとっても有害なものもあります。ビニール袋、タバコの吸い殻、釣り糸などは、野生動物にとって有害な影響を与えます。

ゴミを持ち帰るために、ゴミ袋を準備しましょう。キャンプサイトや休憩場所を離れる前に、スナックの食べかすなどがないか確認してください。子供たちには人工物がないか見つけるゲームをやっても良いかもしれません。

排水

食器や調理器具をきれいにすることは、グループの衛生管理のためにとても大切です。食器の洗浄は、水源から60m離れたところに水を運んで行ってください。清潔な鍋を使い、お湯を沸かすと、効率よく汚れを落とすことができます。どうしても洗剤が必要な場合は、天然素材の洗剤を使用しましょう。食べかすがある場合、ストレーナーで食べかすを濾し取り、食べかすは持ち帰ります。濯いだ水は、広く散布してください。もしクマの生息地であれば、テントサイトから離れた場所に散布しなければなりません。

流し場のあるキャンプ場では、排水溝に生ゴミ、食べかす、油分などが蓄積する可能性があります。キャンプ場を快適に使うためにも、キャンプ場のルールに従うだけでなく、食べかすや生ゴミは持ち帰りましょう。

体の洗浄

体を清潔にすることは、グループの衛生管理のためにとても重要です。使用する洗剤は、天然素材のものでも、水源に影響を与えます。もし使用する時には、水源から60m離れて、体を洗いましょう。小川に入る場合、ローション、日焼け止め、虫除け、ボディオイルは水質を汚染する可能性があるので、慎重に判断しましょう。

LNT原則4 見たものはそのままに