原則2 影響の少ない場所での活動
屋外での旅行の目標は、土地や水路など自然へのダメージを避けながら、自然地域を移動することです。この目標を達成するには、旅行がどのように影響を与えるかを理解する必要があります。人間の旅行による被害は、地表の植生や生物の群集を踏みにじられたときに発生し、土壌侵食と望ましくない登山道の発達につながっていきます。一度ダメージを受けてしまった自然環境が復元するためには、長い月日がかかることを覚えておきましょう。自然環境には、影響を受けにくい環境、影響を受けにくい場所、影響を受けにくい方法があります。同じ野外旅行の目的を達成できるのであれば、よりダメージの少ない方法を選択できるようになりましょう。
~地表の耐久性~
自然の地表の耐久性に関しての知識をもつことで、より自然への影響を少なくして活動することができます。
○岩、砂、砂利
これらの地表は耐久性が高く、繰り返し踏み続けられても耐えることができます。ただし、岩の上で成長する地衣類は脆弱であることに注意。
○氷と雪
これらの地表での活動の影響は一時的なものであり、活動するのに適した地表と言えます。ただし、雪の層が植生のダメージを防ぐのに十分な深さであること、氷や雪の上で移動する際の適切な安全対策がなされていることが条件です。
○植生
人々の踏みつけに対する植生の耐久性は、その植物によって様々です。植生を横断するときは、慎重に決定する必要があります。もし植生上を横断する場合は、耐久性のある植生、または簡単に回避できるまばらな植生の領域を選択します。乾いた草は踏みつけに強い傾向がありますが、反対に、湿性草地の植物は踏みつけに弱く、回復にも時間がかかります。
~トレイル と オフトレイル~
ほとんどの日本の山では「トレイル=登山道」があります。我々人間が、自然地域を旅するのに欠かせない存在です。長い間、人々に踏まれ続けられてできた道や、植生保護のために作られた木道など、人為的に作られた道も登山道です。トレイルは、人々が安全に歩行できるためだけでなく、インパクトを1か所に集中させ、トレイルの複数化を防ぎます。「オフトレイル」は、登山道を外れた、地表を植生が覆っているところを言います。このオフトレイルをグループで歩行する場合は、インパクトを集中させるのではなく、できる限り広がって歩き、インパクトを分散させることが大切です。
≪影響の少ない登山道の歩き方≫
- 指定の登山道を利用する。
- 登山道がドロドロでも真ん中を歩く。
- 岩や根など硬い地表を選んで歩く。
- 休憩するときは他のハイカーのために、トレイルから外れる。
- グループでオフトレイルを歩く際は、インパクトを分散させる。
~耐久性のある表面でのキャンプ~
キャンプ地の指定がある場合には、それに従うのが原則です。キャンプ指定地ではないところでキャンプをする場合、自分たちで適切なキャンプ場を選択する必要があります。すでにダメージを受け、植生がなくなり始めた場所の使用は、より深刻なダメージを与え、裸地化を促進させる可能性があるため、使用を避けるべきです。
≪キャンプエリア選定のポイント≫
- インパクトが始まりかけた場所は使用しない。
- よりダメージを受けている場所を選定する。
- 他の人には見えにくい場所、水源から60m以上離れた場所にテントを張る。
- キャンプサイトは最小限にとどめる。
- よいキャンプサイトは、作るのではなく見つける。
- 使用後は必ず元に戻す。