原則5 最小限のたき火の影響
現在は道具が発達し、キャンプ時の調理は、軽量且つ効率的なキャンプストーブ(バーナー)を使っている人がほとんどで、たき火で調理をする人は少ないと思います。影響を最小限に抑えたキャンプには欠かせない道具の1つですね。とはいえ、たき火は緊急時に熱や光をとったり、コミュニケーションの手段として利用したりと、必要な技術になります。また、たき火を囲んだ団らんも野外旅行の大きな魅力の1つでもありますね。その反面、たき火は自然界に与える最も大きいインパクトの1つであることを理解し、正しい知識や技術がない場合にはできる限りキャンプストーブを使うようにしましょう。ただし、許可された場所で、正しい知識と技術でたき火を行えば、環境に与えるダメージも、最小限にとどめることができます。
たき火を行う際の最も重要な考慮事項は、自然への潜在的なダメージです。たき火を行う前に、本当にたき火をする必要があるか検討しましょう。
- 「たき火禁止」などの管理上の制限のある区域ではないか?
- たき火を行うのに最適な場所か?火災の危険はないか?
- たき火を行うのに、自然を変えない程度の十分な木材があるか?
- グループのメンバーは、痕跡を残さないキャンプファイヤーを構築するスキルをもっているか?
ほとんどのキャンプ場には、炊事を行うための「かまど」や、キャンプファイヤー等を行うための「ファイヤーリング」などがあります。火を作るのに最適な場所は、そのようなキャンプ場の指定された場所を利用するようにしましょう。必要最低限の火を保ち、使用している間だけ燃やすようにします。
マウンドファイヤー
既存のかまどやファイヤーリングを使用しないでたき火を実施する場合、地表への潜在的なダメージを考慮する必要があります。このマウンドファイヤーを実施することで、自然へのダメージを最小限にとどめるだけでなく、可能な限り自然の外観を変えずにたき火を楽しむことができます。
マウンドファイヤーの作り方
○すでに乱された露出している鉱物土壌、砂または砂利を収集します。
○マウンドファイヤーを作る地面にグランドシートなどの布を置きます。
○布の上に、土を10cm前後の厚さで山を作ります。マウンドの厚さは、火の熱から下の地面を断熱するために重要です。火の大きさに応じて調整しましょう。
○ 火種がこぼれないように、マウンド上は平らにし、カルデラ状に周囲を高くします。
【薪の選定とクリーンアップ】
- 立っている木は、死んでいるか生きているかにかかわらず、鳥や昆虫が生息しているので、そのままにしておきます。また、立っている木や倒れた木から枝を剥がすと、その地域の自然な外観が損なわれます。
- 立っている木や倒れた木から枝を切ったり壊したりしないでください。枯れ木や倒木は燃えやすく、集めやすく、自然への影響も少なくなります。
- 手で折ることができる、大人の手首の直径以下の木片を使用します。
- キャンプから離れた広い地域から木材を集めます。
- すべての木を灰になるまで燃やし、灰にならなかった炭は、完全に消火した後、できる限り細かく砕き、土と攪拌します。
- 土をとった場所の近くに分散してばら撒きます。
- 未使用の木材は元通りに。できるだけ自然に見えるようにします。