LNTが栗駒山麓をつなぐ
鳴子温泉もりたびの会 齋藤理さん
鳴子温泉に生まれた新たな循環型社会
宮城県の北部、山形、秋田、岩手と接する栗駒山麓は、LNTの団体メンバーである、くりこま高原自然学校、国立花山青少年自然の家、幼少年キャンプ研究会花山キャンプ場と、LNTの密集地です。そんなエリアに、また新たなパーワーが生まれました。
鳴子温泉もりたびの会は、2018年設立した団体で、鳴子温泉川渡地区を中心に、地域の温泉宿、こけしの工房、林業従事者、自然学校がステークホルダーとなり、地域の自然資源を活用した自然・文化体験プログラムを行なっています。また、地域の林業資源を生かし、全ての廃材をエネルギーに変え、自立して持続可能なコミュニティを実現するサステナビレッジ鳴子、森林資源の共有源となるエコラの森、そして、地元の木材を使った川渡温泉地区の循環を、ビジターに発信する役割を担っています。
LNTをアウトドアビジネスで発信
鳴子温泉もりたびの会では、現在首都圏からの修学旅行を対象にLNTを導入した教育コンテンツを提供しています。栗駒山麓は、年間を通じて登山者もさほど多くなく、その穏やかな山容から、国内屈指の野外教育のフィールドを提供しています。今後、これらの自然自然を活用し、教育キャンプだけではなく、アドベンチャートラベルのメッカを目指します。
一大温泉地である鳴子温泉は、栗駒山麓を中心とする周辺観光の拠点となっています。また、栗駒山麓には、登山だけではなく、東北らいし山のいで湯が点在し、栗駒の魅力を一掃引き立てます。そのため、鳴子温泉のある大崎市だけはなく、お隣の栗原市、山形県最上町、秋田県湯沢市、岩手県一関市とも、連携し、栗駒山麓のエリアとして、LNTを共通言語としたエリアマーケティングを考えています。
LNTを地域の共通言語に
鳴子温泉のある大崎市は、豊かな農作物だけでなく、生物多様性や伝承的農法などが認められ、世界農業遺産に登録された土地でもあります。齋藤は、この農業遺産の観光活用のためにもLNTは効果的であると考えます。
また、お隣栗原市でも、ジオパークに日程されたり、それらをつなぐロングトレイル構想があるなど、LNTの導入に積極的な動きがあります。
自然観光は、自治体単位よりも、山域や、流域といった自然単位で考えなければなりません。そのために、LNTは、ことなった自治体や事業者をつなぐ上でも、普遍の共通言語になると考えます。
また、栗駒山麓から、東北が全体が、LNTを通じて、インバウンドだけではなく、日本人にとっても、日本らしい自然と文化を楽しめる旅の目的になればと夢は膨らみます。