キャンプ場から、森の中へ

若林悠平さん(株式会社柳沢林業)

柳沢林業

若林さんの務める柳沢林業は、長野県松本市で操業する林業会社ですが、ソーシャルデザインを通じて、産業や生活文化の質を高めるグッドデザイン賞を2021年に受賞するなど、林業を本業としながら、現在の林業のあり方や社会課題にチャレンジする会社です。

具体的な取り組みの一部としては、木材の流通の過程で大量に発生する廃材をできる限り少なくするために、建築材で不要になった部分から商品開発したり、それでも生まれてしまう廃材は燃料として活用し、木材を余すところなく利用して、森と街のつながりをデザインしています。

また、木材を馬によって運搬する馬搬のために馬を飼育し、木材切り出しの時の環境へのインパクトを最小限にする他、その馬で畑を耕す馬耕を行ったり、馬糞を肥料に活用したりと、馬を中心とした古き良い里山の生活をデザインしています。

引用:http://yanagisawa-ringyo.jp/gd2021

美鈴湖もりの国オートキャンプ場

柳沢林業では、松本市の所有する美鈴湖森の国オートキャンプ場を、2021年4月から指定管理を行なっています。当時LNTトレーナーを取得した若林さんは、キャンプ場のサービスにLNTを取り入れようと試みましたが、もともと松本市が指定する規則が多く、7原則から行動を自己選択するLNTがなかなか導入しにくいことにこの1年試行錯誤しました。

また、オートキャンプ場であるため、車でいくらでも装備を持ち込めてしまい、自然よりも、モノにフォーカスしたキャンプスタイルに疑問を感じていました。必要最小限の装備で、一つの装備を長く使うことで、意識がモノから自然に向いたり、より感情に意識が向かうのではないかと考えています。

LNTワークショップを通じたスタッフトレーニング

そこで、若林さんの理想とするキャンプ場に近づけるためには、スタッフがより深くLNTを理解することも重要と考え、2022年7月11-12日の2日間を用い、トレーナーコース以来約一年半ぶりとなるLNTワークショップをキャンプ場の職員に対して行うことを決定しました。

内容は、まず7原則を1から3と、4から7というように、2日間に分けて、その日の最初に座学で学習しました。その後、学習した原則に基づき、スタッフがグループを作り、キャンプ場を巡り、設備やサービスで、原則に反している問題点を洗い出しました。その後、その問題を解決する方法を、グループで話し合い、職員内で発表し、1日を終えました。

LNTトレーナーコースで学んだSPECモデルに基づいて、プログラムを考えたことにより、職員が主体的に学び、スタッフのLNTへの理解が深まったことはもとより、若林さんも気づかなかった、キャンプ場の問題のソリューションがたくさん生まれ、予想以上の手ごたを感じました。また、改めて、初めて聞く人でもすぐに理解できるLNT7原則のわかりやすさを実感されました。

若林さんは、現在のオートキャンプで主流となっている大量生産大量消費のスタイルから脱却するためには、ビジターを森の中に連れて行き、人間中心の考えから、自然中心の考えに変化することの重要性を主張します。また、そこで、本業である林業について、森の成り立ちについてビジターに伝えることができると考えます。現在オートキャンプを目的にキャンプ場を訪れるキャンパーを十分に森の中に連れて行くことができていないと感じられていますが、将来、森の中にキャンパーを誘える、そして森の素晴らしさを伝えられる野外指導者を目指したいと、夢を抱いています。


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