シーカヤックを通じて牡鹿半島の魅力とLNTを伝えていきたい
なかのカヤック(宮城県牡鹿半島)
中野可菜さん
今回のゲストは、宮城県牡鹿半島を拠点とするシーカヤックガイド「なかのカヤック」代表の中野可菜さんです。
中野さんの活動する牡鹿半島は、宮城石巻市の属し、仙台湾の北の端を形成する半島です。海岸線は、三陸のリアス式海岸ですが、北三陸の勇壮な荒々しい海食崖に比べると、入江もコンパクトで、湾内となる西側はとても穏やかで、外海に面する東側は、波も高くクライエントのニーズに合わせていろいろなバリエーションを楽しめるのが特徴です。漕力のある方は、近くの金華山、網地島、田代島などにツアーに行けるなど、数日間のカヤックツアーを楽しむこともできます。
牡鹿半島には、コンパクトな入江が無数にあり、陸からも船でもアプローチできず、シーカヤックでしか上陸することのできないプライベートビーチの宝庫と中野さんは言います。なかのカヤックでは、これらのビーチにツアーに行き、1日中のんびりと海の景色を楽しんだり、ランチやコーヒーブレイクをしたりと、牡鹿半島の海を楽しんでいるそうです。
また、牡鹿半島は北三陸に比べ海食崖が低いので、30ぐらいの入江には漁村があり、人と海との距離が近いことも魅力の一つと言います。それぞれの入江には特徴があり、そこに住む人もなんとなく雰囲気も違っているそうです。牡鹿半島でシーカヤックを行う業者はまだまだマイノリティーですが、中野さんは漁師の方々とも丁寧にコミュニケーションをとり、地域に溶け込み、文化を通じても牡鹿半島の魅力を発信しています。
中野さんはシーカヤックは、全く手付かずの海や入江を活用するので、LNTの考え方は特に重要と考えます。確かに、登山道を原則とするハイキングや、スキー場の中のみで行うスキーなどに比べると、管理されていない自然がフィールドとなるシーカヤックは、必然的にLNTを意識せざるを得ない環境ですね。中野さんはツアーを通じて、LNTテクニックが本当に必要となる場面で、クライエントに伝えることで、LNTの必要性をより感じてもらえると考えます。
中野さんが所属する日本セーフティパドリング協会(旧日本セーフティカヌーイング協会)の協会員は、北海道から沖縄まで広がり、多くのガイドが国立公園内でガイディングをしています。そのための協会員がLNTを理解することは、とても重要であると考えています。また、シーカヤックだけでなく、リバーカヤック、カヌー、SUPなど、全てのパドリングスポーツを含んでいるため、さまざまな環境で、さまざま活動を通じて、LNTのテクニックや事例が集めることができると協会の役割にも期待をしています。
素朴で、たくさんのファンから愛される中野さんには、ますます牡鹿半島の魅力を日本中の人に発信し、パドリング業界のLNTをリードしていってもらいたいと思います。